〜ワインと食べある記 そのA
「ワインの飲み方にルールはない」〜


それは、日本のフランス料理店では有名な名店の一つに行った時の話です。
25年くらい前のことなのですが、いまだに鮮明に覚えていることがあります。

当時私もまだ20代前半の頃、当時でも超一流のお店に気合を入れて行きました。
周りの客席を見回しても、そんな若造なんかいません。
せいぜい40代半ばから60代の方々が女性を連れてまたは、ご接待風な感じでいかにも場慣れした使い慣れた感じで、楽しそうに食事をされておりました。

ちょうど私たちの隣の席も50代の男性と30代くらいかの今で言うセレブな感じの女性との二人連れのお客様。
ソムリエが注文されたワインを持ってきて(銘柄はわかりませんでしたが、ボルドーの何か高そうな赤ワインであったのは確かです)、いつものようにそのお客様にプレゼンし、抜栓し、デキャンターに移しホストテイスティングも済ませ女性のワイングラスに注ぎました。
その直後、女性の方がソムリエにワイングラスを指差しながら何か言ったのです。
言われたソムリエは、にこやかにうなずき下がっていきました。
すぐに手に何かを持って戻ってきましたが、その手には氷の入ったアイスペールを持っており、その角氷を一つ二つと女性のワイングラスに入れたのです。
いわゆるワインのオンザロックです。
最初はびっくりしたのですが、そのソムリエの即座の対応、何事もなかったような姿勢、それを見ていた隣の私たちにウインクしてニコッとしたセンス、ソムリエとは当たり前のことですが、「サービスマンであるべき」姿がそこにはありました。
ワインの飲み方に何のルールもないのです。
自分にとって一番おいしいと思う方法でいい訳で、またその女性はあまりお酒が強くなかったのかもしれません。 氷で薄まるくらいがちょうど良かったのかもしれません。
プライベートな食事なのですから 何の問題もない訳です。
格式のあるような公式晩餐会のような席ではない訳ですからね。


To be continued

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