粽は疫病退散の縁起物

旧暦の5月5日、端午の節句に中国では粽を食べます。古くから、端午の節句に食べる粽は疫病から身を守り、家族の健康を守ると信じられており、初夏の重要な行事食でした。コロナ禍の今こそ、いにしえの伝統食を食べて元気いっぱいに新しい季節を迎えたいものです。

端午の節句の由来

・旧暦五月五日は「端午節」です

「端午の節句」は、東アジア全域に定着している伝統的な節句で、もとは伝染病が流行りやすいとされる初夏に疫病を祓う日とされていました。後の世、春秋時代に楚の国の大変高名な詩人、屈原(クツゲン)がこの日に汨羅(ベキラ)という川に身を投げたことから、端午の節句は屈原を記念する「詩人節」とも言われ、のちに日本のお正月にあたる「春節」、日本の秋分の日、秋のお彼岸の頃にあたる「中秋節」とともに東アジア全域の三大節句の一つに数えられるようになりました。

・さまざまな風習が今日まで伝承されています

5月5日は古くは先秦(紀元前221年以前の時代、主に春秋時代を指す)より「悪月悪日」と考えられており、この日に疫病神が舞い降りて疫病を広めると信じられておりました。唐の時代になる頃には疫病神を追い払う道教系の神、鍾馗(ショウキ)像を飾ったり、菖蒲やヨモギなどの薬草を束ねて酒や湯に浸けたり、竹筒にもち米を詰めてお供えするなどの儀礼が中国全土に広がり、現代まで二千年以上も続いてきました。日本に鍾馗像、粽、菖蒲湯などの端午の節句の習俗が伝わった時期には諸説ありますが、奈良時代とも言われています。京都の民家には、現在でも瓦製の鍾馗像が軒先に置かれているのを見ることができ、祇園祭でおなじみの「蘇民将来」や「茅の輪」も、軒先に飾る笹で作られた束状の「粽」も、そのルーツは中国の端午の節句にあります。

・人々に愛される色々な粽のバリエーション

日本で端午の節句に食べる粽は、もち米を甘くしたものがほとんどですが、中国の粽には地方によって様々なバリエーションがあり、端午の節句には欠かせないご馳走です。聘珍樓の原点である広東地方では、もち米を竹の皮で包み、中にアヒルの塩漬け卵、豚バラ肉、椎茸など、旨味たっぷりの具材をたくさん詰めて、醤油で風味付けをした肉粽を作ります。台湾で作られる粽も、ほぼこれに似た広東式の肉粽になります。
一方中国の北の地域になりますと、もち米だけを包んだシンプルな粽が作られ、日本の「おにぎり」に近いような広東とは趣を異にする粽が主流となります。清々しい青い笹の葉で包まれた白いもち米の食感と、ほんのり甘いなつめの香りを楽しむ粽は、北方ならではの美味しさで、好みで砂糖や、はちみつをつけていただきます。

邪気を払う五色

端午の節句で食べる中国の粽は、笹の葉でもち米を包み、邪気を払う五色の糸で巻く決まりがあ ります。五色とは古代中国の陰陽五行説に由来する万物(木、火、土、金、水)の色を表し、青(緑)、 赤、黄、白、黒(紫)の五色のことで、この五色は、日本の文化にも深く根を下ろしています。 日本の端午の節句でおなじみの鯉のぼりにつきものの吹き流しも五色で、子供を疫病から守り 邪気を払うという意味があります。さらに五色にはそれぞれ儀礼的な意味、方角を表す意味、 位を表す意味など様々なものがあり大変興味深いものであります。

・「聘珍樓の端午節粽」 に使用されている「五色」の意味

「聘珍樓の端午節粽(五色の笹の葉ちまき)」に使用されている「五色」は陰陽五行説に基づく「木」「火」「土」「金」「水」という五つのエレメントを表します。

「緑(青)」は葉を茂らせ成長していく「木」。木は「春」を表し、ぐんぐん登っていく「龍」も「緑(青)」のイメージです。この色が象徴するのは五徳(人に必要な五つの徳)の一つ、「仁」。「仁」とは利他の心のことで、人が持つ普遍的な「愛」を意味します。

「赤」は激しく燃え盛る「火」。火は「夏」を表し、伝説上の炎のように赤い鳥「朱雀(鳳凰と同じという説もあり)」も「赤」のイメージ。この色が表す五徳は「礼」。「礼」とは「仁」に基づく具体的な善行を意味します。

「黄」は作物を育む「土」。方角は「中央」で、季節は「土用(季節と季節の間)」を表します。「麒麟」も「黄」のイメージで、五徳は「信」。「信」とは誠実で嘘のないことを意味します。

「白」は土中にあるキラキラした金などの鉱物を表し、不変で確固たるものの象徴であり、収穫を表す「秋」を表す色です。「虎」も「白」のイメージで、五徳は「義」。
「義」とは正しいこと、悪を恥じる心を意味します。

紫「紫(黒)」は流れ湧き出でる「水」。水は誕生と生命の源であり、「冬」を表します。この色は五徳では「智」を表し、「智」とは全ての正しい行いの元となる「叡智」を意味します。